塩素の一部はこの汚れと結びついて、数えられないほどの有機塩素化合物をつくってしまうのである。

日本の水道普及率は一OOパーセントに近く、水が豊富で、しかも水質が二疋保障されている国に住めて幸せかもしれないが、浄水場を見学すれば、その原水の汚れに驚くばかりである。 日に見える汚れは除去しやすいが、見えない汚染ほど厄介なものはない。
農薬、合成洗剤の成分、プラスチックの添加物、病原菌、排地物に含まれるアンモニアなど、地球上のあらゆる汚れはいつかは水に溶け、河川や地下水に入っていく。 浄水場は高度な化学技術で清らかな水に変えてくれるところだと、単純に思いこみすぎているのである。
沖縄の名護市環境衛生課では、一九九三年一O月から、バイオメイク微生物研究所で開発したアガリエ菌を活用して、市街地の河川を浄化する試みを展開している。 アガリエ菌を散布後すぐに、川添いの住民から、「悪臭がひどくなくなった」という反応が出ている。
現在、コストと効果のテータ蓄積を急いでいるところらしいが、私の試算では、わずかなコストで、効果は天文学的数字にのぼるものと推定される。 というのも、アガリエ菌などの微生物を使わずに、ヘドロ処理装置などを使って処理したとすると、時間的にも資金的にもコストはどう考えてもひきあわないはずである。
アガリエ菌を活用すれば、ヘドロやチッソ・リン化学薬品を勝手に食べつくし、炭酸ガスと水に分解して、汚泥の臭いもまったく発生させずに完壁に処理するのである。 環境衛生課では、一九九三年一O月に次いで、一九九四年一月にも港川とそれに直結する排水溝に約一五0メートルにわたってアガリエ菌を溶かした液を散布した。
実際、ヘドロが堆積していたところが、まるで漂白したように白砂に変化しているのだ。 もともとこの川は夏場には悪臭がひどかったというが、現在では、「アガリエ菌の散布後、住民から悪臭が少なくなったという声が寄せられている。
ヘドロの多い所では二、三O分で分解反応がある」と大城係長は答える。 さらに、「河川の悪臭、汚れは環境面、街の美観からも問題」と指摘し、アガリエ菌の河川浄化には大きな期待をこめている。
このヘドロは深さが一メートルにもなるのだが、アガリエ菌は約一カ月で食べつくしてしまうのである。 しかもヘドロを食べつくすと、アガリエ菌はエサがなくなるため、活動を停止してしまう。
しかし微生物はあくまでも休んでいるだけで、ヘドロが堆積し始めると、「しめしめエサができた」と認識したアガリエ菌は再び活動を始めるのである。

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